日時 2000年 9月19日(火) 15時〜16時40分 場所 経済学部5階視聴覚室 講演者 大橋靖雄 (医学系研究科 生物統計学) 演題 臨床評価とQOL 概要 近年の臨床医学のキーワードは、Evidence-Based Medicine、QOL評価 そして治療の個別化であろう。もちろん、これらは独立な方向をめざす ものではなく、患者毎に精神的・社会的な側面まで含めその問題点を把握し、 治療のbenefit-to-riskを(可能な限り)evidenceに基づいて最大化する 治療法を選択する、という方向に収束すべきである。しかし、現実の道のり は遠く、QOL評価においてさえ、その意味するところは人により幅がある。 本講演は最近のQOL評価に関するレビューである。演者の専門領域である 薬効評価を主な対象とする。まず、調査票によるQOL調査について、 信頼性・妥当性検証の方法論と実例について延べ、次に肺癌領域において行わ れた詳細な研究成果から、予後因子としてのQOL、副作用と主観的判定との 関連、患者毎の「重み」つけ、欠損値の処理などの問題について述べる。 最後に代表的ないくつかの疾患をとりあげ、臨床評価全体の中でのQOL評価 の位置づけについて議論する。数理的な方法論の解説より実例の紹介を 中心としたい。