日時 2002年 5月14日(火) 15時〜16時40分 場所 経済学部新棟3階第3教室 講演者 丸山 祐造(空間情報科学研究センター) 演題 positive normal meanの推定について 概要: 一変量正規分布の平均が正に制限されている場合の 平均の推定問題を統計的決定理論の枠組みで考える. この問題は,多変量正規分布の平均ベクトルの推定問題や 分散の推定問題のある種の極限として,理解することが出来るので, スタイン現象を内包している最も基本的な問題と言える. さて決定理論の立場からは,許容的な推定量を提案するのが望ましいが, 改良する推定量が容易に見つからない場合,ある推定量が 許容的かどうかを判別するのは,一般に困難である. 我々は,ミニマクス性という別の意味での良さを持ったある推定量が 許容的かどうかを判別する.この判別問題は,推定量のある関数が 非負の測度のラプラス変換として,表現されるかどうかという問題と 同値であることが分かる.複素解析・漸近解析的手法を用いると, 上に述べた関数の逆ラプラス変換が負の値を取ることが分かり, 非許容的であると結論される.従って,許容的な推定量を得るという 立場からは失敗作であるが,その過程が理論的に興味深い. なおこの研究は,九州大学・数理の岩崎克則教授との 共同研究である.