統計学輪講(第8回)


日時    2002年 5月21日(火)    15時50分〜16時40分
場所    経済学部新棟3階第3教室
講演者  小谷野仁(経済学研究科D2)
演題    一般ベイズ解の許容性について

概要:
  一般ベイズ解,特に共変ベイズ解の許容性という古くからの問題を考えます。
この問題については,これまでにもいろいろな結果が知られていますが,
ここで出したい考え方は,統計的推定問題の構造は,それに作用して
それを不変にする変換群の構造に反映され,その下での最良共変推定量や
共変ベイズ推定量の許容性は,その群の構造から知ることができるという
考え方です。例えば,1次元と2次元の正規分布の平均の推定問題では,
最尤推定量は許容的ですが,3以上の次元では非許容的でした。
この推定問題は,ユークリッド運動群の作用によって不変であり,
最尤推定量はその下での最良共変推定量でもあります。一方で,1次元と
1次元の運動群は amenability という性質を持ちますが,3以上の次元では
その性質を持ちません。
  ここでは,一般に,運動群の下で不変な事前分布に対する共変ベイズ
推定量は,3以上の次元では,必ず非許容的であることを述べます。



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