日時 2002年 5月28日(火) 15時〜15時50分 場所 経済学部新棟3階第3教室 講演者 水野佐智子(医学系D1) 演題 薬物動態データのブリッジングにおけるoverlapping coefficientの利用 概要: 新薬開発において、外国の大規模臨床データを新地域へ外挿し、新地域での 医薬品の承認申請に必要な試験の代替とするブリッジングが行われるように なっている。外国臨床データの新地域への外挿可能性を判断するためには、 両地域の住民の薬物動態データにおける類似性を評価することが必須である。 しかし、類似性評価の標準的な方法はガイドラインで定められておらず、 実際の場では多くの方法が適用されている。その中でよく用いられる平均値の 比較の方法は、2群の分布に対し正規性や等分散性が成立していることを前提と しており、ブリッジングの状況では必ずしも適当ではない。むしろ、集団の バラツキや分布自体を評価する方法が妥当ではないかと考えられる。 そこで本研究では、ブリッジングの薬物動態データの類似性の評価に、分布の 重なりの割合であるoverlapping coefficient(OVL)を用いることを提案する。 まず、5つのOVL推定量とその信頼区間の性能比較をシミュレーションにより 行った。次に、実際にブリッジングを目的として行われた、進行性大腸がんを 対象とした経口抗がん剤の薬物動態試験における日本人と米国人のAUCデータに 対して、OVLにより類似性の評価を試みた。