統計学輪講(第7回)

日時	  2003年 5月13日(火)    15時〜16時40分
場所	  経済学部新棟3階第3教室
講演者    青木  敏(数理情報)
演題      高次元の分割表の様々なモデルに対するマルコフ基底の
          極小性・不変性について

概要
  マルコフ連鎖・モンテカルロ法を用いて分割表に対する各種の条件付検定を
行なうために、近年、局外母数に関する十分統計量(一般には周辺度数)が
等しいすべての分割表が推移可能となるようなマルコフ連鎖の構成方法が研究
されている。この問題は、任意の周辺度数の組に対して、その値が等しいよう
なすべての分割表を「連結」させる基底(マルコフ基底)を求めること、と
集約される。これまでに、Aoki and Takemura (2003) では、サイズが比較的
小さい問題に関して、極小マルコフ基底が一意的に求まることを示し、また、
Takemura and Aoki (2002) において、極小マルコフ基底の性質を求めたが、
極小マルコフ基底が一意的に存在するための条件など、未解決な問題は多い。
一方、極小マルコフ基底が一意的に存在しない問題においても、マルコフ基底
に関して、各軸の水準入れ替えに関する不変性の要請を付け加えることにより、
一意な(不変)極小マルコフ基底が存在する場合がある。本発表では、4元分
割表の階層モデルなどのいくつかの例を通して、不変極小マルコフ基底の性質
について、現在までに分かっていることを紹介する。


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