日時 2003年 1月13日(火) 15時〜16時40分
場所 経済学部新棟3階第3教室
講演者 岸野 洋久(農学生命科学)
演題 連鎖不平衡と分集団構造、分子レベルの収斂進化
概要
連鎖不平衡に基づく相関解析は、ゲノム上に多型マーカーが密に整備されれば、高
解像度で重要遺伝子を検出できる可能性がある。しかし、集団の分析には種々のノイ
ズが含まれ、分集団構造や集団の履歴が見かけ上の相関を生む。ここでは生態学的な
適用を想定し、局所的には無作為交配する階層構造を持った集団をモデル化し、連鎖
不平衡と分集団構造を同時推定する。
分子データの種間の相関は、それらが共通の祖先に由来するところから来る。が、
分子進化学における推論を歪める最も大きな要因は収斂進化である。形態や機能によ
る生物の分類は、しばしば分子系統樹により改訂を迫られてきた。ゲノム情報が解析
可能となったいま、進化系統樹の信頼幅は極めて狭くなってきており、偏りを再検討
する必要性に迫れている。分子レベルにおける収斂進化の検出とバイアス補正につい
て述べる。
今回の報告は、北田修一氏(東京海洋大)、北添康弘氏(高知大)との共同研究に
基づく。
Tokyo University