統計学輪講(第30回)

日時    2004年 11月  9日(火) 15時〜16時40分
場所    経済学部新棟3階第3教室
講演者  青木 敏(数理情報)
演題    グレブナ基底の実験計画法への応用
概要:
  多項式環のグレブナ基底の理論は、近年、統計学の諸問題にも応用される
ようになった。現在の主流は大きくふたつに分かれており、ひとつは、与え
られた有限状態の空間に既約なマルコフ連鎖を構成する、という問題
(American branch)、もうひとつは、実験計画法への応用(European branch)
である。本発表では、後者を紹介する。
グレブナ基底の理論の実験計画法への応用は、Pistone and Wynn (1996,
Biometrika) によって始めて提案された。彼らのアイデアは、計画を、代数
方程式系の解集合として特徴付け、計画点においてゼロとなるようなすべての
多項式の集合(計画イデアル)を考えるものである。すると例えば、多項式環
に、計画イデアルを法とする合同関係から得られる同値類の集合を考えること
と、その計画によって識別可能なモデルのクラスを考えることの間に、対応が
得られる。また、この同値類の代表元の計算は、グレブナ基底による割算の剰
余として得られる。
本発表では、Pistone and Wynn による最初の結果と、その後、最近までに得
られている結果を、実際の計算例を通して紹介する。







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