日時 2004年 12月 14日(火) 15時〜15時50分 場所 経済学部新棟3階第3教室 講演者 小林 景(数理情報D3) 演題 リスク感受的なネットワーク決定問題 概要: ネットワークモデルにおける意思決定問題は,確率モデルと効用関数および観 測値が与えられたときに,効用関数の条件付期待値を最大化するような決定を求 める理論である.特に,確率モデルや効用関数の独立関係を表すグラフの形状を 生かして,最適決定を効率よく計算することができる. 本研究では,まず正規変数と離散変数をともに含むようなモデルにおいて, Junction Tree Algorithmと呼ばれる手法を応用した最適決定アルゴリズムを提 案し,グラフの特徴を利用した計算量の減少を実現した.その際にLauritzen等 により提案されたstrong rootの議論を用いた.さらに線形指数二次ガウス (LEQG)モデルと呼ばれる最適制御理論をグラフィカルモデルに拡張することに よって,決定者が楽観性,悲観性をもつ場合の最適決定の理論を構築した. 次に,ロバスト性をもつ制御として知られるH∞最適制御理論を拡張した,一 般化H∞最適決定の理論を提案した.また,一般化H∞最適決定が,楽観性をもつ モデルの最適決定列のある極限と一致することを証明した.また,コレスキー分 解を用いることにより,一般化H∞最適決定を直接求める方法も示した.
Tokyo University