日時 2004年 1月 18日(火) 15時〜16時40分 場所 経済学部新棟3階第3教室 講演者 安道 知寛(医科学研究所) 演題 関数データ解析に基づく信用リスク評価モデル 概要: 企業の財務指標などの情報から企業のデフォルトリスクを計測する財務アプローチ については,1960年代から数多くの研究がなされてきた. その長い歴史のなかで,多くの研究者が財務指標の時間依存を考慮すべきであると 主張し,直近の時点で観測された財務指標のみならず,その変化率・時系列推移を 表現する代替変数を併用することで予測精度の向上を試みてきた. しかし,経時情報の抽出方法やそれらをデフォルト予測へとリンクさせるモデルが 未発達であっため,この重要な問題を根本的に解決するには至らなかった. 本稿では,関数データ解析の枠組みを利用し,財務指標の推移の代替変数等ではなく ”財務指標の推移”そのものを説明変数とした新しい統計モデルを構成し,高精度な デフォルトリスク計測手法を提案する. 実際のデータ解析を通じ,提案手法の予測精度は従来手法を優越し,その有効性が 確認された.
Tokyo University