日時 2005年 12月 13日(火) 15時〜15時50分 場所 経済学部新棟3階第3教室 講演者 松本 章邦(地球システムD3) 演題 90年代後半の雇用調整行動の変化 ― 財務データによる調整係数の推定 概要: 本研究では企業の雇用調整行動がバブル崩壊前後で変化したかを, 財務 データを用いて実証分析する. 従来日本の大企業では, 生産量に応じた雇用量を 目標として連続的に人員調整をするのではなく, 普段は労働時間短縮等での調整 にとどめておくが赤字期にはまとめて雇用調整が行われてきたとする説が説得力 を持ってきた. 1990年代後半の雇用調整が単に景気の低迷がもたらしたものであり 経営状態とこのような関係を持つ雇用行動で説明できるのか, あるいは調整の きっかけとなる要因に変化があったのかを財務データを用いて検証した. 主な結果は次の通りである. 1) 調整速度が赤字期に増加する傾向は弱まっており, このことは新規上場企業の 行動に起因するものであり, バブル崩壊前後共存在する企業の行動は変化して いない. 2) 期間中赤字を経験しない企業が収益性の低下によって雇用調整を速めるという 傾向が, バブル崩壊後に強まる. 3) 赤字期に調整速度が増加するという傾向が弱まるのに対して, 企業の健全性が 低いほど調整速度が増加するという傾向は強まる.
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