統計学輪講(第5回)

日時      2008年5月20日(火)    15時〜15時50分
場所      経済学部新棟3階第3教室
講演者    高橋 慎 (経済D2)
演題      Estimating Stochastic Volatility Models Using Daily Returns and
          Realized Volatility Simultaneously

概要

金融資産収益率の分散あるいは標準偏差として定義されるボラティリティは, オ
プションの価格付けや市場リスクの計算などに必要不可欠な重要な変数である.
ある区間 (1日など) の日内収益率の2乗和として計算されるRealized
Volatility (RV) は, 真のボラティリティの精確な指標として注目を集めてい
る。しかし, 取引のない時間帯や, 日内収益率に含まれる市場の取引構造に起因
するノイズの影響により, RVにはバイアスがあることが知られている. 一方, 日
次収益率はその影響が少ないため, それにより真のボラティリティに関する追加
的な情報を得られる可能性がある. 本研究では, このような考えから, (非対称)
確率的ボラティリティ変動モデルに基づいた日次収益率とRVとの同時モデルを提
案する. また, マルコフ連鎖モンテカルロ法を実行するための効率的なサンプリ
ングアルゴリズムを提案し, 東京証券取引所株価指数を用いた実証結果を報告す
る (大森裕浩准教授, 渡部敏明教授 (一橋大学) との共同研究).