統計学輪講(第22回)

日時      2008年10月14日(火)    15時〜15時50分
場所      経済学部新棟3階第3教室
講演者    柴田 大樹 (情報理工M2)
演題      A Capture–Recapture Approach for Screening Using Two Diagnostic Tests With Availability of Disease Status for the Test Positives Only (文献紹介)

概要

ある病気の有無を調べるために,まず人間の母集団を2種類の検査
(screening tests) に掛けることを考える.2種類の検査のうち少なくとも一方
で陽性となった場合は,より精密な検査を受け,その病状を特定することができ
る.しかし両方の検査において陰性となった場合,それ以上検査を受けることは
ないので,病状は不明のままである.
この状況下で各病状を持つ人の数を推定するときに,従来の方法では2種類の
検査は独立であることを仮定していた.しかし本論文において示されるように,
データからは検査の独立性が成り立つとはいえないことが分かる.
そこで本論文では2種類の検査の独立性を仮定せずに,各病状を持つ人の数を
推定する方法を2つ与える.検査がともに陰性である場合も含めた母集団全員の
病状が分かっている特殊な場合のデータを用いて検証したところ,これらの新し
い方法によって得た推定量は,従来の推定量よりも良いふるまいを見せることが
分かった.
最後に,これらの新しい推定量のふるまいを,最尤推定量のそれと比較した.
結果,最尤推定量に対する効率性の欠如はほとんど見られなかった.