日時 2008年10月14日(火) 15時50分〜16時40分 場所 経済学部新棟3階第3教室 講演者 野村 和史 (工M1) 演題 トービットモデルを用いた降水量確率分布の作成 概要 天候に関するリスクの管理はあらゆる経済主体にとってますます重要になってきて おり、天候デリバティブ等の取引規模は年々拡大している。しかし、現状での取引 の大部分は気温データを指標とするものであり、降水量データを指標とするものは、 そのニーズの大きさにも関わらず一般的であるとはいえない。理由としては、降水 量データは負の値をとることができないため、確率分布の作成が難しいことなどが 挙げられる。そのため、降水量デリバティブの普及には、確率モデル化の手法の確 立が不可欠であるといえる。 これまで、降水量の確率分布に関する研究では、降水量モデルを「降水日モデル」 と「降水日降水量モデル」の2つのモデルに分けて考えるアプローチが主流であった。 しかし、そのようなアプローチは、Heckman(1976,1979)が指摘した標本選択による 偏りが生じる恐れがあり、モデルとしては不十分である。そこで、本研究では、労 働経済学等で広く用いられているトービットモデルを用いて東京における降水量の 確率分布を単一のモデルで作成した。また、作成したモデルをもとに、シミュレー ションによって既存のデリバティブ商品についての実証分析も行った。