統計学輪講(第31回)

日時      2008年11月11日(火)    15時50分〜16時40分
場所      経済学部新棟3階第3教室
講演者    三矢 恭悟 (情報理工M2)
演題      ジャンプ拡散過程の確率制御問題に関する Hamilton-Jacobi-Bellman 方程式と再保険への応用

概要

確率制御理論を解説し,それを利用した再保険の最適化を考える.
確率制御理論は,何らかの基準に基づいて制御される確率的システムを研究するものである.
再保険は保険会社のための保険と言え,経営の安定や保険引受能力の補完に利用される.
保険会社の純資産(資本),すなわち資産と負債の差をサープラス,あるいはリザーブという.
保険会社はリスク保険商品を提供しており,サープラス過程は確率過程とみなされる.
このとき,サープラスが負になる確率である破産確率をリスクの指標として使うことができる.
こうして保険会社は,比例再保険をcontrol process,サープラス過程をcontrolled processとして,
生存確率を最大化する最適化問題を考えることができるようになる.
この最適化法として,確率制御理論における Hamilton-Jacobi-Bellman 方程式(HJB eq.)が有用である.
Hamilton-Jacobi-Bellman 方程式を導出してそれを解くことが,この確率制御問題へのアプローチとなる.
本発表では,基本的であるCramer-Lundberg モデルを設定する.
サープラス過程はジャンプ拡散過程(Levy拡散過程)となるが,これに対し,
1.(Winner)拡散過程で近似する,
2.そのままのジャンプ拡散過程を使う,
という2つの方法を考える.
これらを統一的に扱うことのできる確率制御理論の枠組みを述べ,それぞれの方法を考察することにする.