統計学輪講(第9回)

日時      2009年05月26日(火)    15時~16時40分
場所      経済学部新棟3階第3教室
講演者    田中 冬彦 (情報理工)
演題      AR過程の優調和事前分布の偏相関係数による表示

概要

Tanaka and Komaki(2008)では時系列データが2次の自己回帰過程(AR過程)に従う
時のスペクトル密度の推定を考え、優調和事前分布に基づいたベイズスペクトル
密度の方がジェフリーズ事前分布に基づいたベイズスペクトル密度よりも精度よ
く推定できることを示している。高次のAR過程での優調和事前分布はTanaka(
2009)によって初めて与えられたが、特性方程式の根を用いた表示のため、数値
実験を行う上では取り扱いづらかった。本発表では高次のAR過程への応用を念頭
において偏相関係数によるパラメータ表示を導入する。偏相関表示を用いること
で、事後分布やベイズスペクトル密度も容易に構成できる。また、優調和事前分
布は適当な変換のもとで独立なベータ分布の積になることも容易に示される。ジ
ェフリーズ事前分布は積分が発散するため対照的な結果である。さらに、実際に
3次のAR過程で数値実験した結果や定常性条件をみたす領域の3次元プロットな
ども紹介する。


参考文献
[1] F.Tanaka and F.Komaki: A superharmonic prior for the autoregressive
process of the second order. J. Time Ser. Anal., Vol. 29 (2008), 444--
452.

[2] F.Tanaka: Superharmonic priors for autoregressive models. METR 2009-
18,
 University of Tokyo, 2009.