統計学輪講(第12回)

日時      2009年06月09日(火)    15時50分~16時40分
場所      経済学部新棟3階第3教室
講演者    大嶋 小次郎 (情報理工M2)
演題      Euler-Maruyama 法による拡散過程の期待値の近似(文献紹介)

概要

Euler-Maruyama法は拡散過程を近似する最も基本的な方法である.拡散過程 X_t,
関数 f に対して,期待値 E[f(X_t)] を 時間 [0,T] を n 等分割し,
Euler-Maruyama 法によって近似すると,f が滑らかな場合,誤差は 1/n のオーダ,
f がリップシッツ連続な場合は 1/n^{1/2} のオーダとなることは古くから知られている.
本講演では,f が単に有界可測関数であっても,拡散過程を生成する確率微分方程式の
係数がなすベクトル場の組がヘルマンダー条件を満たすときは,誤差のオーダが1/nとなることを
示した V.Bally, D.Talay による結果を紹介する.

V. Bally and D.Talay. The law of the Euler scheme for stochastic
differential equations(I):
convergence rate of the distribution function, Probability Theory and
Related Fields, 104(1), 1996.