統計学輪講(第37回)

日時      2010年01月26日(火)    15時~16時40分
場所      経済学部新棟3階第3教室
講演者    鎌谷 研吾 (数理科学)
演題      ギブスサンプラーの弱収束 / Weak Convergence of the Gibbs sampler

概要

本講演では,ギブスサンプラーのふるまいの安定性について考察する.
特定の例を除き,ギブスサンプラーの振る舞いを考察する有効な手法は,
リヤプノフ型のドリフト条件を構成する事である.
しかし,このアプローチでは,より詳細の振る舞いを調べるには,
リヤプノフ関数をうまく取る必要があり,技術的に困難であった.
今回は新しいアプローチとして,ギブスサンプラーを分布の一つの実現値
と捉える手法を紹介する.この捉え方により,
おおもとの分布の空間にたいして,収束や距離を
定める事が出来る.主に以下の三つの結果が得られた:
a)正則なギブスサンプラーの漸近的な振る舞いの記述,
b)シンプルな混合モデルにおける非正則な振る舞いの記述,
c)前記の非正則な場合の改善手法の提案.
これらの結果と,従来のリヤプノフ関数を介した解析の簡単な
解説を行ない,両者の利点と欠点を紹介する.