統計学輪講(第14回)

日時      2010年06月15日(火)    15時50分~16時40分
場所      経済学部新棟3階第3教室
講演者    國濱 剛 (経済D2)
演題      Bayesian estimation and particle filter for max-stable processes

概要

株価の予期せぬ急激な下落などが与える影響の大きさから、近年金融計量経済学においてリスク分析は
注目を集めている分野である。その分析手法の一つとして極値理論が用いられてきたが、従来の研究では
確率変数の独立性を仮定したものが多い一方で、実際の金融時系列データには時間的な従属性が存在する
ことが経験的に知られている。そこで、時間的従属性を考慮するように拡張された統計モデルがさまざま
提案されてきたが、その一つがmax-stable processに基づく状態空間モデルである。ところが、非線形
非正規であるためパラメータの推定が容易ではなく、効率的な推定方法は提案されていない。我々の
研究では、この非線形非正規モデルを非線形正規モデルで近似することによって効率的にパラメータを
推定できる方法を考案し、さらに同様の近似を応用することで安定的な粒子フィルターを提案した。
これらの推定方法の効率性をシュミレーションデータを用いて比較し、実証分析として高頻度株価収益率の
日次最小値データを使った極値の時系列構造の分析を行った。