日時 2010年10月26日(火) 15時~16時40分 場所 経済学部新棟3階第3教室 講演者 大森 宏 (農) 演題 1.欠測値のある変量モデルの解析 2.対話的遺伝アルゴリズムによる個別の好ましい花壇デザインの創出(高見) 概要 1.様々な場所で作持品種を栽培して、その環境適応性を調べる試験はよく行われている。 しかし、場所の制約や品種の温度などの適応性により、適応性試験は欠測値を含む場合が 多い。完全な解析を期すために、品種・環境がすべてそろったデータに縮小させて適応性 を論じることが多く、無駄になったデータが多々あった。 変量モデルで欠測値を含むときの解析法として、REML(制限付き最尤法)を用いた多重代入法と ベイズモデルが考えられる。欠測値を含む茶の広域適応性試験データを解析した事例を報告する。 2.景観や景観デザインに対する個人の嗜好の共通性と個人差についての統計的研究を行ってきた。 昨年は集合知景観調査の報告を行ったが、今回は、大学院生の高見さんの研究を報告する。 Web上やパソコン上で、花材を1本1本配置させてバーチャルな花壇を作成し、自分にとって好ましい花壇 を作成してもらって来た。この中で、多くの学生に好ましいと思われた100花壇を始祖花壇とし、 個人が好ましいと思う花壇を以下のような対話的遺伝アルゴリズムで生成してもらう実験を行った。 Step1: 被験者は、現花壇集団 (60 or 100) から次世代に残したい花壇を 7~15 個選択する。 Step2: 選択された花壇を交配して新しい花壇を (50 or 90) 程度生成する。 Step3: 新しく生成された花壇と選択された花壇を新集団として被験者に提示する。 Step4: これを7世代程度繰り返す。 交配様式としては、1:2点交叉、2:一様交叉、3:構造を残した交叉、の3通りをランダムに 適用して次世代花壇を生成させた。また、花壇画像間の色相距離が近いものは次世代候補からはずし、 次世代花壇のバリエイションを保つようにした。 4者択一法による後日評価実験によると、自分が選抜した系では、世代が進むごとに嗜好度が上がる 傾向が認められたが、他人が選抜した系では世代が進むにつれ逆に嗜好度が低下する傾向があった。 対話的遺伝アルゴリズムによる花壇デザインの進化は、個別の嗜好を追求していると考えられた。