統計学輪講(第27回)

日時      2010年11月9日(火)    15時~15時50分
場所      経済学部新棟3階第3教室
講演者    石黒 圭祐 (情報理工M1)
演題      How to sample from a truncated distribution if you must(文献紹介)

概要

切断分布からのサンプリングは難しい。この問題に対して、現在主に2つの手法が提案されている。1つ目はランダムウォークMCMCアルゴリズムである。この手法は最終的には正しい分布を与える事が保障されているが、収束が非常に遅くなる事があるという欠点がある。2つ目の手法はellipsoid
methodと呼ばれ、良い事前情報を持つ問題に対しては実践的にはより有用だが、正しさは保障されない。そこで、今回紹介する文献では、この2つの手法を統合した枠組みを提案している。そのキーアイディアは、Metropolis-coupled
MCMCを使って2つの手法を1つのマルコフ連鎖の中に合併させる事である。そうする事によって、2つの手法の間で正当に情報を交換する事が出来る。すなわち、ellipsoid
methodから作られた連鎖は正しいとは限らないが、大抵高速に有用な定常分布に収束するので、その情報を用いてランダムウォークMCMCから作られた連鎖が正しい分布に収束するのを速くする事が出来る。