統計学輪講(第5回)

日時      2011年06月7日(火)     15時50分〜16時40分
場所      経済学部新棟3階第3教室
講演者    菅原 慎矢 (経済D3)
演題      Separate inference for moral hazard and selection problems in
insurance  markets: With application to US dental insurance market

概要
本研究は、保険市場において、モラル・ハザードと逆選択という情報の非対称性の二大要
素が及ぼす効果を、単純な設定の元で個別に推定する手法を提案する。我々の手法は、保 

険消費者の効用最適化行動に関してある種の仮定を必要としている。しかし、条件付き分
布を与えた元での同時分布の存在の必要条件であるCompatibilityに関する議論を用い、 

これらの仮定が識別性の必要条件であることが示された。さらに、我々はベイズ統計を用
いた推定手法を提案し、これをアメリカの歯科保険のデータに対して応用した。この結果、
標準的なモラルハザードの他に、リスクの低い消費者ほど保険に対する需要が高いという、
逆選択とは逆の状況があることが示された。