統計学輪講(第7回)

日時      2011年06月21日(火)    15時00分〜15時50分
場所      経済学部新棟3階第3教室
講演者    浜田 美佳 (経済M2)
演題      "Granger causality and path diagrams for multivariate time
series” Eichler(2007) (文献紹介)

概要
本論文では、ヒルベルト空間上でのconditional orthogonalityにより定義された
Granger因果と瞬時的因果に基づく、多変量時系列弱定常過程のpath diagramが提唱
され、これは時系列のdependence structureの分析枠組みを与える。本報告では、こ
の時系列グラフィカルモデリングの基本的事項を紹介した後、これに関する次の2つ
のトピックを紹介する。
1.Dufour and Renault(1998)において提唱された、Granger因果においてh期先の予
測に関するtime horizonを考慮するshort-run and long-run causalityについて、こ
の時系列グラフィカルモデリングの枠組みにおいて、horizon hまで、もしくは任意
のhorizonにおける、Granger-noncausalityの十分条件がグラフ上の条件として示さ
れる。
2.Granger因果について、全てのレレヴァントな情報が情報集合に含まれているこ
とが前提されているが、実際にはその部分集合しか観測されないケースも考える必要
がある。潜在変数が存在すると考えられる場合に用いられ得る2つの方法が提案され
る。ひとつは、Minimal consistencyの概念を用いたものであり、もうひとつは、
Eichler(2010)”Graphical Gaussian Modelling of Multivariate Time Series with
Latent Variavles”において提唱されるgeneral path diagram、dMAGs (dynamic
maximal ancestral graphs)によるものである。