日時 2011年10月11日(火) 15時00分〜16時40分 場所 経済学部新棟3階第3教室 講演者 岸野洋久 (農) 演題 適応度の統計的評価 概要 マイクロサテライトなど多型な分子マーカーを利用することにより、親子関係を推測 することができる。親子関係の分布の情報から、個体の再生産力がどの程度偏ってい るか、見積もることができる。ノルウェイのベルベッケン川における褐色マスを親子 解析した結果、再生産力は大きな個体に偏っていることが示された(Serbezov et al 2010)。このため、表現型が平均に向けて回帰することと適応進化することが矛盾し ないことが示された。これと関連するトピックであるが、現在サケを中心として、世 界各地で放流が行われている。河川に戻ってきたサケ産卵親魚を継続調査して、捕獲 魚の交配による稚魚を放流した場合と自然交配した場合で、再生産力を比較した。そ の結果、放流魚が低い再生産力を持つことが伺われた(Araki et al 2007)。現在その 要因分析に関心が向けられている。ところで、この相対生産力は交配の様式や環境に より変化することが想定されるが、調査を積み重ねることによりその分布を推定でき る。そこでは、相対生産力が1を下回る確率が興味あるパラメータとなる。今回ご紹 介する話題は北田修一先生(東京海洋大学)、小谷野仁先生(京都大学)、Tore Schweder先生(オスロ大学)との共同研究によるものである。