統計学輪講(第06回) 日時 2012年05月22日(火) 15時40分~16時30分 場所 経済学部新棟3階第3教室 講演者 山田 英夏 (経済D1) 演題 空間自己回帰モデルに対する擬似最尤推定量の漸近的性質 概要 空間的従属構造を組み込んだ回帰モデルである空間自己回帰モデルについて考える. 特に, 空間自己回帰モデルに対する擬似最尤推定量の漸近的性質は, Lung-fei Lee(2004)によって調べられている. そこでは, ある種の正則条件を満たす場合 と満たさない場合の結果が得られている. 前者においては, 通常の収束率での一致性 と漸近正規性が成立つ. 後者は, ある種の多重共線性が起きるような状況に対応して いるが, 比較的わずかな空間ユニットのみが互いに影響し合うような状況では, 通常 の収束率での一致性と漸近正規性が成立する. 一方で, 非常に多くの空間ユニットが 互いに影響を及し合うような場合にはある種の情報行列の退化が起こりうるが, この ような状況においても, パラメータの要素によっては通常とは収束率が異なる可能性 があるものの, なお一致性と漸近正規性が成立しうる. 今回の発表では, 以上の結果を概観し, さらにそれぞれの状況に対応するモンテカル ロ・シミュレーションの結果を報告する.