統計学輪講(第9回)

統計学輪講(第09回)
日時      2012年06月12日(火)    14時50分~15時40分
場所      経済学部新棟3階第3教室
講演者    菅原慎矢 (経済D3)
演題      A nonparametric Bayesian prediction analysis for structural
econometric models: with application to the Japanese private nursing home
market

概要
 近年の計量経済学では、確率変数の分布全体に仮定を置く最尤法などの手法より柔
軟な、モーメント条件のみを用いた推定が広まっている。しかし、この手法で予測分
析を行おうとした場合には、かえって強い仮定が必要となってしまう。本研究では、
モーメント条件のみを課した状況で柔軟な予測を可能にするような、ノンパラメトリ
ック・ベイズ手法の応用を提案する。
 この方法の応用例として、日本の有料老人ホーム市場を分析する。この市場におい
ては、ホーム側が入居者の寿命不確実性に関するリスクを一手に引き受ける「入居金
制度」という経済慣行がある。この慣行は、一見入居者を保護しているように見える
が、合理的なホームならその分のリスクはなんらかの方法で回収しているものと予測
される。本研究では、この制度が撤廃された場合の消費者余剰に関する予測分析を行
う。経済モデルとしてはBerry, Levinsohn and Pakes(1995, Econometrica)による非
線形同時方程式モデルを用い、データは週刊朝日ムック「 入居金と認知症ケアが分
かる! 高齢者ホーム2011」から手入力したものを使用して分析を行った。その結果、
極端に長生きする入居者をのぞき、ほとんどの消費者はこの制度の撤廃によって生涯
支払いを減少させることが示唆された。