統計学輪講(第23回) 日時 2012年12月11日(火) 14時50分~15時40分 場所 経済学部新棟3階第3教室 講演者 浜田 美佳 (経済D1) 演題 Mark付き有向辺をもつ時系列グラフィカルモデリング 概要 Eichler(2007)において弱定常過程のVAR modelのpath diagramが提唱され、そこに示されたdirect effect の現れるのにかかるラグをpath diagramの有向辺に付けるmarkのアイディアを、Eichler(2012)において提唱される時系列グラフィカルモデリングの枠組みに組み込む。この強定常過程の時系列グラフィカルモデリングにおけるグラフは、部分σ加法族の条件付き独立により表したGranger causality, contemporaneous (conditional) independenceから規定され、非線形モデルも適用対象となるより一般的な枠組みとなる。ここにおいて、有向辺へのmarkを条件付き独立により定義し直し(この条件は確率過程へのconditionally weakly mixingの仮定のもとmark k → ∞のとき、Granger-noncausalityと同値となる)、markによる追加的な条件付き独立の情報をモデルに課す。そしてEichler(2011)において定義される”graphical time series model"に属する次数pの"graphical nonlinear autoregressive model"についてmarkの条件をそのnonlinear autoregressionの関数に含まれる確率変数の集合の条件として表し、またその具体例の各非線形モデルについて、この定義におけるmarkがパラメータへの制約として表されることを確認する。そして、この"graphical nonlinear autoregressive model"について任意の部分集合を情報集合にとったときのGranger-noncausality up to horizon hのmarked graph上の十分条件をある確率過程へのある条件下で導出する。また、minimal consistent graphの概念についても、markによる情報を考慮して幾種類かのalternativeについて検討する。また、VAR modelのパラメータの値の全情報を持つΦ-Σ marked path diagramを定義し、これは、Dufour,Renault(1998)において提唱された”a complete picture of linear causality properties at different horizons”がそこから導かれる”generalized impulse response coefficients”のgraph上における各経路ごとの解釈を与える。