統計学輪講(第4回) 日時 2013年04月30日(火) 14時50分~16時30分 場所 経済学部新棟3階第3教室 講演者 小林 弦矢(経済) 演題:近似ベイズ計算法の展開について 概要 尤度関数が解析的に求まらないモデルや尤度関数の計算が煩雑あるモデルに対しては, 従来のベイズ推定の手法の適用は理論的にも実践的にも非常に難しい問題であった. 本論文は近似ベイズ計算法(Approximate Bayesian Computation, ABC)という手法に 焦点を当て,その最近の展開について取り扱う.ABCは,実際の観測データと尤度関数 から発生させたデータが近くなるようなパラメータの値を事後分布からのサンプル として採択する.尤度関数からデータを発生せることにより,尤度関数の評価を 直接行う必要がないことから,非常に便利なベイズ推定の手法として注目を集めて きている.いままで,パラメータ推定やモデル選択の数々のアルゴリズムが提案されて きているが,低い採択率や非効率性などの問題を抱えている.そこで,本論文では 既存のアルゴリズムの問題点を克服し,ABCをより有用な統計的手法とするために, (1)パラメータ推定のための新しい手法,(2)新しいモデル選択の手法,(3)ABCの 変数選択問題への応用,の3点について採り上げた.