統計学輪講(第16回) 日時 2013年10月22日(火) 14時50分~16時30分 場所 経済学部新棟3階第3教室 講演者 廣瀬 善大 (情報理工) 演題 多変量正規分布モデルにおける条件付き正規化最尤分布 概要 本発表では,条件付き正規化最尤分布(Conditional Normalized Maximum Likelihood, CNML)の 紹介を行い,その許容性などに関する性質について述べる.情報理論における符号化で用いられる 損失関数のひとつにリグレット(regret)がある.このリグレットのminimaxを達成する確率分布 として定義されているのが正規化最尤分布(Normalized Maximum Likelihood, NML)である. リグレットとは,確率変数の実現値が与えられた場合に,用いる確率分布による符号長と最尤推定値 による符号長(実現値を見てから符号化を行う「あとだし」符号化)との差をとったものである. リグレットと同様の損失関数を条件付き確率分布に対して考えることにより定義されるのが 条件付き正規化最尤分布(CNML)である(Grunwald, 2007).CNMLは,観測データが与えられたときに, 将来の値の確率分布を推定するひとつの方法である.本発表では多変量正規分布モデルにおいて, 損失関数の下でのCNMLの許容性やminimax性を確認し(CNMLの存在と一意性の確認に対応), 関連するリスクの下での非許容性などについて説明する.