統計学輪講(第20回) 日時 2013年11月26日(火) 14時50分~16時30分 場所 経済学部新棟3階第3教室 講演者 岸野 洋久 (農) 演題 構造と発現と許容区間の統計モデル 概要 種々の環境ストレスを受ける私たち生物は、さまざまな戦略で柔軟にこれに適応している。 単純な生活環からなり、遺伝子発現の手段を宿主のゲノムにゆだねるウィルスの適応は、 その多くがタンパク質の構造に投影される。集団遺伝のモデルに感染の数理と タンパク質構造情報を組み込み、アミノ酸配列進化の統計モデルに多様化圧の空間集積性を 表現するPottsモデルを事前分布として導入することにより、適応的突然変異の起きる 領域を検出することができる。高等生物では、生理的活性の諸側面が遺伝子発現に反映される。 遺伝子発現は複雑に相互作用するため、鍵となる構造の骨格を抽出する探索的アプローチが 妥当する。補助情報を利用して予め探索空間を絞り込み、情報量規準を適応度に持つ 遺伝アルゴリズムにより標的表現型と強く関連する極大連結有向グラフを求める。 仮想的な節を加増することにより、遺伝子発現カスケードのトリガーを探索する。 最後に許容区間の包含関係を仮説検定し、リスク評価するアプローチを検討する。 2種類の許容区間を定義し、2標本に基づく検定の検定統計量を導入する。今回ご紹介する 話題は渡部輝明先生(高知大学)、北田修一先生・中道礼一郎先生(東京海洋大学)との 共同研究である。