統計学輪講(第22回)

統計学輪講(第22回)
日時      2013年12月10日(火)    14時50分~16時30分
場所      経済学部新棟3階第3教室
講演者    大森 宏 (農)
演題      景観認識を集合知で測る

概要
 ある地域の景観特性を調べるため、多くの人がその地域の景観に抱いた印象を収集
し、その情報を統合した集合知で表現する統計的手法を開発している。前回の輪講では、
SLoT(Snapshot-Location-Text)マップ法を発表した。これは、調査対象になった地域で、
気に入った景観のスナップショット(写真)(S)、撮影地点(Lo)、撮影時に感じたこと
や撮影理由などのコメント(T)からなる多くのSLoTデータから作成される印象の集合知
マップであった。
 しかし、地域景観に対する印象は、年齢・性別などの撮影者の属性(Attribute)により
異なっていると考えられる。そこで、属性情報(A)も印象の集合知マップに取り入れ、
属性による見方の違いも明らかにできるSALoTマップ法を今回の輪講で紹介する。
 2010年と2011年に埼玉県川越市の景観調査を地元の大学生に行ってもらった。
属性は男女とした。172名(男子84名、女子81名、不明12名)から242件のSALoTデータ
を収集した。その結果、興味を与える景観のパターンには男女で違いは認められないが、
印象の表現には男女で違いが認められた。
 また、SALoTマップ法で提示された集合知が、どの程度他人に伝わり、共感されるの
かの実験も行ったので、その結果も報告する。