統計学輪講(第9回)

統計学輪講(第9回)
日時      2014年06月17日(火)    14時50分~15時40分
場所      経済学部新棟3階第3教室
講演者    笹井 健行 (情報理工M2)
演題      ゲーム論的確率論におけるEFKP形式の重複対数の法則

概要
ゲーム論的確率論は,近年提案された新しい確率論の枠組みである[1].
測度論的確率論が測度論に基礎を置くことに対して,ゲーム論的確率論は
ランダムネスに深い関わりを持ち,証明が構成的であるなどの有利な点をもつ.

一方で重複対数の法則は大数の強法則の収束の速さを与えるものであり,
Khinchinの研究[2]に端を発して様々な研究が行われてきた.
重複対数の法則は大きく二種類のものがあり,よく知られた比の形で表されるものと,
EFKP test と呼ばれる差の形で表されるものがある.特に,例えばコイン投げのように
確率変数の取りうる値が二値の場合を考えると,EFKP testはより鋭い結果を与える[3].

今回,コイン投げにおけるEFKP testに対してゲーム論的な証明を与えた.
発表では重複対数の法則の説明とゲーム論的確率論の紹介を行った後,
証明に関する具体的な事柄や拡張に対して述べる.

[1] G. Shafer and V. Vovk. Probability and Finance: It’s Only a Game! Wiley, (2001).
[2] A. Khinchin, Uber einen Satz der Wahrscheinlichkeitsrechnung, Fund. Math. vol. 6 (1924) pp. 9-20
[3] P. Erdos, On the law of the iterated logarithm, Ann. of Math. (2) vol 43 (1942) pp. 419-436