統計学輪講(第6回) 日時 2015年05月19日(火) 14時55分~16時40分 場所 経済学部新棟3階第3教室 講演者 大庭 幸治 (医) 演題 メタアナリシスアプローチを用いた代替エンドポイントの評価 概要 代替エンドポイント(代替評価項目)は、それが臨床エンドポイントよりも、より安価に、簡便に、 頻回に、早期に測定できる時に、新治療の評価のために臨床エンドポイントに代えることを意図して 用いられるエンドポイントである。日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)の臨床試験のための統計的 原則では、「実際には、代替性の証拠の強さは、(i) 代替変数と臨床的結果の関連の生物学的合理性、 (ii) 代替変数が臨床的結果の予後を予測する上で有益であると疫学研究によって示されていること 及び(iii) 試験治療の代替変数に対する効果が臨床的効果と対応しているという臨床試験の結果、に 依存している。」とある。データに基づいた代替性の評価にあたっては、Prentice基準をはじめとする 数多くの評価方法が提案されてきた。メタアナリシスを用いた代替エンドポイントの評価では、(ii)、 (iii)の条件に着目し、1つの試験データから評価できる代替エンドポイントと臨床エンドポイント間の 個人レベルの関連性(individual-level association)評価に加えて、複数の試験データから評価できる 各エンドポイントにおける治療効果の関連性(試験レベルの関連性; trial-level association)を評価 することが可能となる。 今回は、胃がん化学療法を対象としたメタアナリシスプロジェクト(GASTRIC: Global Advanced/Adjuvant Stomach Tumor Research through International Collaboration)で実施してきた解析を交えながら、 メタアナリシスを用いた代替評価項目の妥当性確認に関する方法を紹介し、今後の取り組みを概説する(Buyse M, 2015)。 Buyse M, Molenberghs G, Paoletti X, Oba K, Alonso A, Van der Elst W, Burzykowski T. Statistical evaluation of surrogate endpoints with examples from cancer clinical trials. Biom J. 2015 Feb 12. doi: 10.1002/bimj.201400049.