統計学輪講(第17回) 日時 2015年10月06日(火) 15時45分~16時35分 場所 経済学部新棟3階第3教室 講演者 渋江 遼平 (情報理工M1) 演題 マーク付き点過程モデルを用いた神経スパイクデータのデコーディング(文献紹介) 概要 脳の神経活動から外部刺激などの情報を予測することをニューラルデコーディングという.例えば, 神経スパイクデータに点過程モデルをあてはめることでネズミの現在位置やサルの腕の速度を予測する といった研究が行われている. このような神経スパイクデータを用いたデコーディングは各ニューロンの発火時刻が事前に得られて いる前提で行われる.したがって,デコーディングを行う前に,計測された電位から得た発火を各ニューロン に割り当てる必要がある.この各ニューロンへの発火の割り当てには,スパイクソーティングという 発火の波形についてのクラスタリング手法が用いられる. 現状は,スパイクソーティングとデコーディングは別の段階として扱われている.そのため,スパイク ソーティングで生じうる誤差や情報の損失の影響はデコーディングの際は無視されている.また,スパイク ソーティングはバッチ処理であることからオンラインでのデコーディングも不可能である. 本発表では,スパイクソーティングを用いないデコーディング方法として,各発火の波形をマークとする マーク付き点過程を用いたデコーディング手法[1],[2]を紹介する. [1] X. Deng, D. F. Liu, K. Kay, L. M. Frank and U. T. Eden: Clusterless decoding of position from multiunit activity using a marked point process filter, {\it Neural Computation}, vol.27 (2015), pp. 1438--1460. [2] F. Kloosterman, S. P. Layton, Z. Chen, M. A. Wilson: Bayesian decoding using unsorted spikes in the rat hippocampus. {\i t Journal of Neurophysiology}, vol. 111 (2014), pp. 217--227.