統計学輪講(第20回)

統計学輪講(第20回)
日時      2015年11月10日(火)    14時55分~15時45分
場所      経済学部新棟3階第3教室
講演者    梶村 俊介 (情報理工M2)
演題      神経スパイク列における相関の発火時間差を考慮した推定法

概要
脳の中で神経細胞は複雑なネットワークを形成しており,情報は神経細胞集団の発火の時空間パターンとして認識される.
このため,脳科学において神経活動は重要な興味の対象の一つであり,神経スパイク列データを用いた研究が盛んに行われている.
神経スパイク列データから各神経細胞の発火率の時間変化を推定する研究が主であったが,近年では技術の進歩により複数の
神経細胞のスパイク列を同時記録することが可能になり,神経細胞間の相関関係を推定する研究が盛んに行われてきており,
本研究でも後者を目的とする.
同目的の研究においては,各神経細胞の発火が各区間で高々1回以下となるように時間軸を離散化し,発火の有無を0-1の
離散変数列に変換する方法が一般的である.時間に関する独立性を仮定した神経細胞の相関既存手法としては,対数線形モデルに
適用したもの[1],より多くの神経細胞間の相関を同時に推定できるように,対数線形モデルを各ペア間の相互作用に限定したもの
に対応するイジングモデルを適用したもの\cite{schneidman2006weak}が存在するが,いずれも神経細胞間で時間差のある発火の
相関性を考慮できていない.そこで,本発表では時間軸も入力ベクトルに含めたイジングモデルを用い,モデルが高次元に対応し,
また神経細胞間の相関が疎にするためにl1/l2正則化を付加した擬似尤度の最大化によるパラメータの推定法を提案する.

[1] Shunichi Amari. Information geometry on hierarchy of probability distributions. Information Theory, IEEE Transactions on
, Vol. 47, No. 5, pp. 1701–1711, 2001.

[2] Elad Schneidman, Michael J Berry, Ronen Segev, and William Bialek. Weak pairwise correlations imply strongly correlated 
network states in a neural population. Nature, Vol. 440, No. 7087, pp. 1007–1012, 2006.