統計学輪講(第2回) 日時 2016年04月19日(火) 14時55分~16時40分 場所 経済学部新棟3階第3教室 講演者 長尾 大道 (地震研) 演題 レプリカ交換モンテカルロ法に基づく首都圏地震動イメージング 概要 将来発生することが予想されている首都直下地震に向けて、地震発生直後に建物や橋梁等の構造物の被害を、 数値シミュレーションによって即時に推定する「応急評価」の技術開発が行われている。応急評価のためには、 各構造物の直下における地震動を初期条件として与える必要があるが、我々はこれを首都圏地震観測網MeSO-netで 得られた地震データから推定する「地震動イメージング」の手法開発を行っている。これまでに我々は、 クリギング法等のデータ駆動型モデリングだけでは特に高周波領域におけるイメージングが不十分であることを 見出し、十分なイメージングを得るためには、多少なりとも物理モデルの導入が必要であるという結論に至った。 しかしながら、3次元の地下構造に対する地震波伝播シミュレーションは、一般に極めて大きな計算コストを要し、 観測データと組み合わせてイメージングを実施することは容易ではない。 そこで本研究では、地下構造が1次元(水平成層)の場合には、地震波伝播シミュレーションが比較的容易である ことを利用し、関東平野における地下構造を模した水平成層構造の各層のパラメータ(地震波速度および層厚)に 関する事後分布を、レプリカ交換モンテカルロ法によって推定する手法を提案する。提案手法を模擬データを用いて 検証したところ、特に高周波領域においては、従来のクリギング法よりも格段に良いイメージングが得られることが示された。