統計学輪講(第4回) 日時 2016年05月10日(火) 15時45分~16時35分 場所 経済学部新棟3階第3教室 講演者 石川 大智 (情報理工M2) 演題 クリギング法のための非凸最適化に基づく観測点選択 概要 空間内の各点に定まる確率変数に対して,観測値から空間補間を行う手法の一つとしてクリギング法[4]が挙げられる. クリギング法では,確率変数の空間共分散の構造を決めているセミバリオグラム関数の推定を行なったあと,推定値が 最良線形不偏予測量となるようにセミバリオグラムと観測値から定まる線形方程式を解くという手続きで行われる. クリギング法では推定点に対して全ての観測値を用いるため,地震被害の応急評価のように多数の推定点に対する推定を 即座に行う必要がある場合には,推定精度に対して要する計算量が大きくなるという問題点がある.この問題を解決する 為に,Yang et al.[5]は,クリギング法とleast absolute shrinkage and selection operator (lasso) [6]を組み合わ せることを提案した.しかし,クリギング法において凸正則化項を導入しても,推定量が不偏性を持つという制約条件の為に, 変数選択に寄与しない場合がある.そこで,本研究では,クリギング法においる観測点選択をL1-L2正則化項[3]や L1-largest_K正則化項[2]などの非凸正則化項を導入して変数選択を行うことを提案する. 本研究で取り上げる非凸最適化問題は,DC計画問題というクラスに属しており,制約領域が凸集合であり,目的関数が 2つの凸関数の差の形で表すことができる.そして,それらはDC計画問題に対する汎用解法の一つとして知られている DCアルゴリズム[1]を用いて近似解を得ることが出来る. 数値実験では,クリギング法においてlassoでは変数選択ができない場合でも,L1-L2正則化項やL1-largest_K正則化項では 変数選択が行えることを確認した. [1] L. T. H. An and P. D. Tao: The DC(Difference of Convex Functions) Programming and DCA Revisited with DC Models of Real World Nonconvex Optimization Problems, Annals of Operations Research, vol. 133 (2005), pp. 23—46. [2] J. Gotoh, A. Takeda and K. Tono: DC Formulations and Algorithms for Sparse Optimization Problems, Mathematical Engineering Technical Reports, METR 2015-17, University of Tokyo, 2015. [3] Y. Lou, P. Yin, Q. He and J. Xin: Computing Sparse Representation in a Highly Coherent Dictionary based on Difference of L1 and L2, Journal of Scientific Computing, vol. 64 (2015), pp. 178—196. [4] G. Matheron: Principles of geostatistics, Economic Geology, vol. 58 (1963), pp. 1246—1266. [5] D. Yang, Z. Dong, T. Reindl, P. Jirutitijaroen and W. M. Walsh: Solar irradiance forecasting using spatio-temporal empirical kriging and vector autoregressive models with parameter shrinkage, Solar Energy, vol. 103 (2014), pp. 550–562. [6] R. Tibshirani: Regression shrinkage and selection via the lasso, Journal of the Royal Statistical Society: Series B, vol. 58 (1996), pp. 267—288.