統計学輪講(第5回) 日時 2016年05月17日(火) 14時55分~15時45分 場所 経済学部新棟3階第3教室 講演者 狩野 修平 (情報理工M2) 演題 ホロノミック勾配法によるモンテカルロ積分の分散低減 概要 ホロノミック勾配法(HGM)は[1]で提案された、計算対象の関数をそれが満たす微分方程式系に変形して 数値計算を行う手法である。また、モンテカルロ法は確率分布からサンプリングした値を使って数値計算を 行う手法であり、特に高次元の数値積分を解く際に有効な手法であるとされる。数値積分の値は有限和で 表される以上計算値には誤差が生じるため、重点サンプリング等の分散を減少させる手法は重要である。 本発表では、HGMのアイデアを用いて、モンテカルロ法の分散を低減させる手法を示す。具体的には、 1:パラメータ付き積分をあるパラメータでモンテカルロ法で計算した場合と、2:パラメータ付き積分が 満たす微分方程式系を導出し、別のパラメータから適当なパスに沿って目的のパラメータにおける数値積分を 数値計算した場合の誤差を比較すると、後者の方が小さくなるケースが存在することを紹介する。 参考文献: [1]Nakayama, H., Nishiyama, K., Noro, M., Ohara, K., Sei, T., Takayama, N. and Takemura, A.: Holonomic gradient descent and its application to the Fisher-Bingham integral. Advances in Applied Mathematics, 47:639–658, 2011. [2]Koyama, T., Takemura, A.: Calculation of orthant probabilities by the holonomic gradient method. Japan Journal of Industrial and Applied Mathematics, 32(1):187-204, 2015.