統計学輪講(第6回) 日時 2016年05月24日(火) 14時55分~15時45分 場所 経済学部新棟3階第3教室 講演者 渋江 遼平 (情報理工M2) 演題 無限混合モデルによるマーク付き点過程の条件付き強度関数の推定とニューラルデコーディングへの応用 概要 脳は神経細胞の発火によって情報を伝達している.この神経細胞の発火列は神経スパイクデータと呼ばれ, 脳の情報処理の構造を明らかにするための研究の対象となってきた.とくに脳の神経スパイクデータから 外部刺激の情報を復元することをニューラルデコーディングという.Kloosterman et al. (2014) は 神経スパイクデータをマーク付き点過程によって表現してデコーディングを行う手法を提案した. 本手法はスパイクソーティングというデータの前処理操作を必要とせず,デコーディングの精度の向上に 成功した.しかしながら,本手法は条件付き強度関数の推定にカーネル密度推定を用いているため, デコーディングの計算量が大きいなどの問題を抱えている. そこで本研究では,無限混合モデルによって条件付き強度関数を推定する新たなデコーディング手法を提案する. 無限混合モデルによって条件付き強度関数を推定することで,データからモデルの複雑さを決定できる. また,デコーディングの計算量が小さくなることも期待される. 本発表では,既存手法と提案手法についての概要を説明したのち,それらの手法についての数値実験および 実データへの適用例を紹介する. 参考文献: [1] H. Ishwaran and L. F. James: Computational methods for multiplicative intensity models using weighted gamma processes, Journal of the American Statistical Association, vol. 99 (2004), pp. 175 -- 190. [2] F. Kloosterman, S. P. Layton, Z. Chen and M. A. Wilson: Bayesian decoding using unsorted spikes in the rat hippocampus, Journal of Neurophysiology, vol. 111 (2014), pp. 217--227.