統計学輪講(第7回) 日時 2016年06月07日(火) 14時55分~16時35分 場所 経済学部新棟3階第3教室 講演者 下津 克己 (経済) 演題 有限モデルの要素数に関する検定 概要 有限混合モデルは,観測されない多様性を柔軟にモデルにすることが可能なため, 経済学,生物学,医学などの多様な分野の応用において非常に幅広く使われている. 有限混合モデルにおいては,モデルを構成する要素の数(タイプの数)を決定する 実用的な統計的手法を開発することは重要な課題である. 有限混合モデルは数学的に特殊な構造を持つため,要素数を決定するために尤度比検定を 用いた場合には,尤度比検定統計量の漸近分布は通常のカイ2乗分布に従わず, その分布をコンピュータ・シミュレーションで求めることは困難である. 本発表は,有限混合モデルの要素数の検定における発表者の近年の研究成果を概観する. 発表者は,パラメーター変換と高次展開を併用することにより、対数尤度関数の 漸近的近似が可能であり、漸近分布の簡単な表現が得られることを示してきた。 本発表は、(1)正規分布を含まない有限混合モデルの要素数の検定、(2)混合正規回帰モデル (スイッチング回帰モデル)における要素数の検定、(3)隠れマルコフモデルならびに それを一般化したマルコフ・スイッチングモデルにおけるレジームの数の検定を概観する。