統計学輪講(第12回) 日時 2016年07月19日(火) 14時55分~15時45分 場所 経済学部新棟3階第3教室 講演者 山内 雄太 (経済D1) 演題 Multivariate stochastic volatility model with realized volatility and pairwise realized correlation 概要 多変量の金融時系列の分析において資産収益率の系列間の相関構造は時間を 通じて変動することが知られており,その推定・予測はポートフォリオ設計やリスク管 理の観点から重要となる.本発表では,実現ボラティリティ(Realized Volatility, RV)を用いて時間を通じたボラティリティの変動を推定する多変量実現確率的ボラ ティリティ変動モデルの枠組みを拡張して動学的相関構造の推定手法を提案する. 実データへの応用として,アメリカ合衆国の2001年から2009 年(リーマン・ショックを 観測期間に含む)主要9銘柄の日別株式収益率の系列に対する応用を行った.分 析のパフォーマンス評価として,過去のデータから2008年1月9日から2009年12月31 日までの株式の平均収益率および分散共分散行列を予測し,ポートフォリオ戦略を 立て,実際の株式収益率のデータと照らし合わせ,ポートフォリオ・リターンの推移を見 た.結果として,株式収益率間の相関を動的に予測するとともに,レバレッジ効果を モデルに取り込むことで予測精度が上がり,ポートフォリオのパフォーマンスを改善できる ことを示した.