統計学輪講(第14回) 日時 2016年10月04日(火) 15時45分~16時35分 場所 経済学部新棟3階第3教室 講演者 荒木 健司 (情報理工M1) 演題 対戦競技における強さの時間変化の推定 概要 本発表では, Thurstone-Mostellerモデル[1]を拡張し, 強さの時間変化を考慮に入れたモデルを提案する. スポーツ等の対戦競技において, 1 対1 の対戦を何回か行い順位を決めることは広く行われており, 対戦データに 対して各プレイヤーの強さをランク付けするモデルとしてThurstone-Mostellerモデルがあげられる. Thurstone-Mostellerモデルではプレイヤーの強さの時間変化は考えられていないため, 個人競技において 将来の結果を予測するためには不十分である. そこで, まず, 強さの時間変化を全プレイヤー共通とみなした モデルを提案する. 提案したモデルを用いて大相撲データを解析した結果, Thurstone-Mostellerモデルより データへの当てはまりが良く, プレイヤーの強さの時間変化を考慮することに意味があると考えられた. さらに, Thurstone-Mostellerモデルと同様にプレイヤーの強さをランク付けするモデルであるBradley-Terry モデルにおいて, パラメータを経験ベイズ的に推定している既存手法[2]を利用し, 提案モデルのパラメータを推定する. [1] F. Mosteller: Remarks on the methods of paired comparisons: I, The least squares solution assuming equal standard deviations and equal correlations. Psychometrika, vol. 16 (1951a), pp. 3-9. [2] R. D. Baker, I. G. McHale: An empirical bayes' procedure for ranking players in Ryder Cup golf. Journal of Applied Statistics, vol. 43 (2016), pp. 387-395.