統計学輪講(第17回) 日時 2016年10月25日(火) 15時45分~16時35分 場所 経済学部新棟3階第3教室 講演者 野間 修平 (情報理工M1) 演題 複数の観測環境から得られたデータを用いたガウシアングラフィカルモデルのスパース推定 概要 Peterson et al. (2015) [1] を紹介する. 癌細胞はその進行に伴い,細胞中のタンパク質が成すネットワーク構造を変化させるという性質がある.そのため, 各進行段階におけるネットワークの変化や類似点を調べることは,細胞生物学的に重要な問題である. 本文献では急性骨髄性白血病(AML)をその進行段階に応じて4つに分類し,AMLを構成する18種のタンパク質が, 各進行段階においてどのようなネットワークを構成するかをベイズ的に推定する手法を提案している. 具体的には,各タンパク質の発現量が多変量正規分布に従うが,その精度行列は癌細胞の進行段階ごとに別々の G-Wishart分布に従うという,ガウシアングラフィカルモデルを仮定し,Wang and Li[2]が提案したアルゴリズムを 用いて興味のあるパラメータを推定する. 参考文献: [1] C. Peterson, F. C. Stingo, and M. Vannucci: Bayesian Inference of Multiple Gaussian Graphical Models. American Statistical Association, vol. 110, No. 509, (2015), pp. 159--174. [2] S. Z. Li. and H. Wang: Efficient Gaussian Graphical Model Determination under G-Wishart Prior Distributions. Electronic Journal of Statistics, vol. 6, (2012), pp. 168--198.