統計学輪講(第21回) 日時 2016年12月06日(火) 14時55分~15時45分 場所 経済学部新棟3階第3教室 講演者 新田 猛 (情報理工M1) 演題 確率的ブロックモデルに対する適合度検定(文献紹介) 概要 確率的ブロックモデル(Stochastic Block Model) は,コミュニティーの構造を 持つネットワークを表現する確率モデルの代表例であり,確率的ブロック モデルに基づくコミュニティーの推定手法も数多く提案されている.しかし, これまでの手法はコミュニティー数が既知であることを前提としている一方, 実際のネットワークでは一般にコミュニティー数は未知である.また コミュニティー数が既知の場合でも,確率的ブロックモデルに基づく推定では 精度が悪いケースが存在することが知られているため,確率的ブロック モデルに基づく推定が妥当であるかの検証も必要である. Lei (2016)は,これらの問題に対しランダム行列理論によるアプローチを 行い,漸近的にTracy-Widom分布に従う統計量を導出した.また導出した 統計量を利用して,適合度検定およびコミュニティー数の推定の手法を提案 した.本発表では,Leiが導出した統計量とその理論的な性質,および それらを利用して提案された手法について紹介する. 参考文献: J. Lei: A Goodness-of-fit Test for Stochastic Block Models. The Annals of Statistics, vol. 44, No. 1 (2016), pp. 401--424.