統計学輪講(第7回)

    統計学輪講(第7回)
    日時      2017年05月23日(火) 15時45分~16時35分
    場所      経済学部新棟3階第3教室
    講演者    玉江 大将 (経済D2)
    演題      無視できない欠損データを考慮した枝分かれ誤差回帰モデルについて

    概要
    地域毎のサンプルサイズが小さく、標本平均が不安定な問題を小地域問題と呼ぶ。
    この問題を克服するうえで 地域内の個体に関する個別データまで得られている場合は、
    Battese and et al(1988)により提案された枝分かれ誤差回帰モデルが代表的なモデルとして用いられる。
    枝分かれ誤差回帰モデルについては観測値がrandom samplingにより得られていることを仮定している。
    しかし、サンプルサイズが小さい状況においてはrandom samplingが達成できていないことも考えられ、
    そのような状況においては小地域問題をある種の欠損状態とみなすことができる。
    欠損データを取り扱うモデルとして、Fae and et al (2011)では説明変数に関する無視できない欠損についてのモデルが構築され、
    baysianおよびvariational baysian methodによる推論を行っている。
    本研究では, [2]の手法を元に、無視できない欠損メカニズムを考慮した枝分かれ誤差回帰モデルを提案する。
    モデルの妥当性・評価については数値実験を通して行った。


    参考文献
    [1] Battese, G. E., Harter, R. M., & Fuller, W. A. (1988).
    An error-components model for prediction of county crop areas using survey and satellite data.
     Journal of the American Statistical Association,  83(401), 28-36.

    [2] Faes, C., Ormerod, J. T., \& Wand, M. P. (2011).
    Variational Bayesian inference for parametric and nonparametric regression with missing data. 
    Journal of the American Statistical Association,  106(495), 959-971.