統計学輪講(第18回) 日時 2017年10月17日(火) 15時45分~16時35分 場所 経済学部新棟3階第3教室 講演者 田中 智規 (情報理工M1) 演題 離散wavelet変換を用いたshifted curvesモデルにおける適応推定量の構成(文献紹介) 概要 文献[1]を紹介する. 観測された曲線が共通の構造を持つというモデルにおいて,その構造を推定したいという問題がある. その単純なモデルとして,ある関数(common shape)が時間方向にランダムにずれたとするshifted curvesモデルがある. このモデルは近年注目され,様々な分野に応用されているが, 共通構造のcommon shapeの推定量の漸近的な最適性については詳しく議論されていなかった. 本発表では,時間方向のずれ(シフト)の従う確率分布は既知だと仮定して, shifetd curvesモデルの性質から,Fourier級数展開に基づいた推定量の構成を説明し, この推定量が漸近的にminimaxレートを達成し,漸近的に最適であることを説明する. 一方,この推定量は,common shapeのパラメータが必要となり,非適応推定量である. そこで,離散wavelet変換を導入し,[2]をもとに,離散wavelet変換を用いた適応推定量の構成を説明し, この推定量が漸近的にnear minimaxレートを達成することを説明する. [1] J. Bigot and S. Gadat: "A deconvolution approach to estimation of a common shape in a shifted curves model." The Annals of Statistics, 38.4 (2010), pp. 2422--2464. [2] l. M. Johnstone, G. Kerkyacharian, D. Picard and M. Raimondo: "Wavelet deconvolution in a periodic setting." Journal of the Royal Statistic Society: Series B, 66.3 (2004), pp. 547--573.