統計学輪講(第25回)
日時 2017年12月12日(火) 14時55分~16時35分
場所 経済学部新棟3階第3教室
講演者 竹内 由則 (医・公共健康医学)
演題 薬剤疫学研究における自己対照研究手法の推定量の性能比較
概要
医薬品の安全性評価(副作用評価)を行う薬剤疫学研究は、
レセプトデータや病院情報システム(電子カルテ)データなどの既存の医療情報データを2次的に利用して実施されることが多いが、
これらのデータは特定の研究を目的として収集されていないため、患者のBMIや生活習慣、遺伝学的情報など、
疾患の重要なリスク因子の情報を必ずしも得られないという限界が指摘されている。
自己対照研究手法 (Self-Controlled Study Design) は、
興味のある疾患を発症した患者(ケース)のみを解析対象とする研究デザインであり、ケース自身を対照として取り扱うことから、
性別や遺伝的要因、生活習慣などの時間非依存性変数の影響を排除できる。
そのため、重要なリスク因子の情報が十分でないという医療情報データの限界をカバーできると期待されている。
本発表では、主要な自己対照研究手法である、Self-Controlled Case Series,
Case-Crossover design, Sequence Symmetry
Analysisの3手法の概要を紹介するとともに、
薬剤疫学研究において想定されうる状況を考慮したシミュレーション実験による、
これら手法の推定量の性能比較結果
(推定値のバイアス、点推定値の経験標準誤差、平均二乗誤差、推定標準誤差の平均、95%信頼区間の被覆確率)を示す。
さらに、実際の医療情報データを用いた解析事例も提示したい。