統計学輪講(第9回)

日時 2018年6月12日(火)
14時55分 ~ 16時35分
場所 経済学研究科棟 3階 第3教室
講演者 丸山 祐造 (総合文化研究科)
演題 Admissible Bayes equivariant estimation of location vectors for spherically symmetric distributions with unknown scale
概要

多変量正規分布の平均ベクトルの推定において,特に一般化ベイズ推定量の許容性,ミニマクス性に関して,最近得られた結果 (arXiv:1710.02794) を紹介する. 一連の結果の特別な場合は,次の通りである.

X ∼ Np(θσ2Ip), S/σ2 ∼ χ2n で損失関数 ||δ-θ||2/σ2 のもとで θ の推定問題を考える. このとき, James-Stein 推定量の縮小係数を少しいじった [1-{(p-2)/(n+2)}/{|x|2/s+(p-2)/(n+2)+1}]x が,一般化ベイズ推定量である. さらにこの推定量は,ある共変性を満たす推定量のクラス {1-ψ(||x||2/s)}x の中で許容的であり,またミニマクスでもある. 」

平均ベクトルの推定問題は,分散既知の設定では十分研究されているが,上で示した分散未知の設定(これは正規線形回帰モデルの正準形であり,平均ベクトルは回帰係数に対応する)では,対応する結果が得られていなかった. 講演では,正規性の仮定を外した球面対称分布のもとでの結果も紹介する.