統計学輪講(第12回)

日時 2018年7月10日(火)
15時45分 ~ 16時35分
場所 経済学研究科棟 3階 第3教室
講演者 奥戸 道子 (情報理工学系研究科D2)
演題 因子分析のパラメトリゼーションと事前分布
概要

多変量解析は,多変量のデータからなんらかの構造を見出したり要約する手法である. 因子分析は心理学などで利用される多変量解析の手法であるが,データの各次元にばらばらな大きさの分散のノイズを許しているモデルを用いることが特徴である. このモデルはスケール変換に関する不変性を持つ.

因子分析モデルのパラメータ推定について,最尤推定は容易ではなく,パラメータ数が多いとき不安定になりやすいことが知られている. 事前分布を利用したベイズ法については Akaike (1987) などで提案されているが,事後分布にもとづく推測・予測がスケール変換に依存しないような事前分布の選択についてはいろいろな可能性がある.

本研究では,因子分析モデルのスケール変換の不変性に着目したパラメトリゼーションを提案する. このパラメータのとり方に基づいてモデル多様体の幾何的な性質を調べ,その結果として縮小型の事前分布を提案する.

参考文献:
[1] H. Akaike (1987). Factor analysis and AIC. Psychometrika, 52, 317–332.