統計学輪講(第18回)

日時 2018年10月30日(火)
15時45分 ~ 16時35分
場所 経済学研究科棟 3階 第3教室
講演者 吉良 綾人 (情報理工学系研究科M1)
演題 Horizontal visibility graph (文献紹介)
概要

Luque, Lacasa, Ballesteros, and Luque (2009) を紹介する.

時系列をグラフに変換することで,複雑ネットワークの理論を時系列の特徴づけに適用することができる. その方法の一つとして,時系列を幾何学的な基準に従ってグラフに写像する visibility algorithm (可視アルゴリズム)が Lacasa, Luque, Ballesteros, Luque, and Nuño (2008) によって導入された. Luque et al. (2009) の horizontal visibility algorithm は visibility algorithm の単純化である. アルゴリズムの特徴をいくつか述べた後,ランダムな時系列(独立同一分布に従う確率変数の列)に対応する horizontal visibility graph の形に関する次の厳密な結果を紹介する. ランダムな時系列から得られる horizontal visibility graph は,時系列を生成する確率分布によらず,必ず P(k) = (1/3) (2/3)k-2 という形の次数分布を持つ.

参考文献
[1] Lacasa, L., Luque, B., Ballesteros, F., Luque, J., & Nuño., J. C. (2008). From time series to complex networks: The visibility graph. Proceedings of the National Academy of Sciences, 105(13), 4972–4975.
[2] Luque, B., Lacasa, L., Ballesteros, F., & Luque, J. (2009). Horizontal visibility graphs: Exact results for random time series. Physical Review E, 80(4), 046103.