統計学輪講 第6回
日時 | 2019年5月21日(火) 14時55分 ~ 15時45分 |
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場所 | 経済学研究科棟 3階 第3教室 |
講演者 | 湯浅 良太 (経済学研究科D1) |
演題 | 高次元正規分布の平均の縮小推定 |
概要 |
正規分布の行列平均の推定問題を考える. Efron and Morris (1972) により標本共分散行列の逆行列を用いた縮小推定量が提案されている. 最尤推定量であるデータ自身を用いるより良い精度で推定が可能となることが示された. しかし, 次元がサンプルサイズより大きい時はこの方法を用いることができず, また, 次元とサンプルサイズが近い値をとるような時には精度の改善の程度があまり良くない. そこで, サンプルサイズと次元がともに大きくなるような高次元の設定で有効に働くような推定量を提案する. 具体的には標本共分散の逆行列を用いる所をリッジ型の逆行列にし推定量を提案する. さらに縮小の重みは, 二乗損失を最小化する最適な重みに基づく. この重みの提案では Stein の等式を用いる方法とランダム行列理論を用いる方法の2つの方法を用いた. この2つの方法を用いることで提案推定量が, 一定の条件下でミニマックス性を持つ事や平均に事前分布を仮定した下である損失関数の漸近的な最小化になる事が示された. 数値実験によりリッジパラメータの選択が与える影響を調べ, さらに, 既存の推定量との比較を行った. |